
「ダイエットをしてもなかなか効果が出ない」「食事に気をつけているつもりなのに、体調がいまいち」——そんな経験はありませんか?
その原因、もしかすると“自分に合っていないPFCバランス”にあるかもしれません。
PFCバランスとは、タンパク質(P)・脂質(F)・炭水化物(C)の摂取割合のこと。
理想的なバランスは人によって違い、目的(健康維持・ダイエット・筋肉増量)や体質によって最適な比率も変わってきます。
この記事では、看護師としての経験から、また普段筋トレをしている夫のアドバイスを通して、健康維持や美容を目指す人向けに、初心者でも簡単にできるPFCバランスの整え方を、わかりやすく紹介します。
PFCバランスとは?もう一度おさらい
PFCバランスとは、
- P=Protein(タンパク質)
- F=Fat(脂質)
- C=Carbohydrate(炭水化物)
の摂取バランスのことです。
理想的なPFCバランスは、一般的に P:F:C=20〜25:20〜30:50〜60(エネルギー比率)
と言われていますが、実際は人によって最適比が違うのが現実です。
自分に合ったPFCバランスを見つける5つのステップ

① 目的を明確にする
まずは、自分の目的をハッキリさせましょう。
| 目的 | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 |
|---|---|---|---|
| 健康維持 | 15〜20% | 20〜25% | 55〜60% |
| ダイエット | 20〜30% | 20〜25% | 45〜55% |
| 筋肉増量 | 25〜35% | 20〜30% | 40〜50% |
「なんとなく痩せたい」よりも、
「健康的に3kg落としたい」「筋肉をつけながら引き締めたい」など、目標を数字で設定すると、食事内容の調整がしやすくなります。
② 現在の食生活をチェック
次に、今の食生活を“見える化”してみましょう。
スマホアプリ(例:あすけん、カロミル、MyFitnessPalなど)を使うと簡単です。
1日あたりの摂取カロリーとPFC比率を出してみて、
「脂質が多い」「タンパク質が足りない」など、自分のクセを知ることが大切です。
③目安カロリーを算出(簡単な方法)
まず「1日の目標エネルギー(kcal)」を決めます。以下は簡易版なので大体の目安となります。
- 基礎代謝(BMR)推定(ハリス・ベネディクト等が正式)
- 男性:体重(kg) × 24 kcal/日(概算)
- 女性:体重(kg) × 22 kcal/日(概算)
(※厳密には年齢・身長で変わりますが、簡易版はこれでOK)
- 活動レベルを掛ける
- ほとんど運動しない:×1.3
- 週1〜3回軽い運動:×1.5
- 週3〜5回しっかり運動:×1.6〜1.7
- 非常に活動的:×1.8
- 目的に合わせて微調整
- 減量:上で算出した値から−10〜20%に設定(ゆっくり安定させたいなら−10%)
- 増量:+10〜15%など
例(実際の数値の見本)
体重 70 kg の男性、普段は適度に動く → 基礎代謝(BMR概算) 70 × 24 = 1680 kcal。
活動レベルを掛ける。この例では×1.5 → 1680 ×1.5 = 2520 kcal(維持カロリーの目安)。
減量目標なら −15% → 2520 ×0.85= 2142 kcal(概ね 2100〜2150 kcalを目安にする)。
④カロリー比→グラム換算の具体的手順(誰でもできる計算式)
- 目標カロリー(例 2,000 kcal)を決める
- 各栄養素の割合(%)を決める(例:P 20%、F 20%、C 60%)
- 各栄養素のカロリーを計算する(% × 総カロリー)
- タンパク質 kcal = 総 kcal × P%
- 脂質 kcal = 総 kcal × F%
- 炭水化物 kcal = 総 kcal × C%
- グラム換算
- タンパク質 g =タンパク質 kcal ÷ 4
- 脂質 g = 脂質 kcal ÷ 9
- 炭水化物 g = 炭水化物 kcal ÷ 4
計算例(目標カロリー 2,000 kcal、P:F:C = 20:20:60 の場合)
- タンパク質kcal = 2,000 × 0.20 = 400 kcal →タンパク質g = 400 ÷ 4 = 100 g
- 脂質kcal = 2,000 ×0.20=400kcal→脂質g=400÷9=44.444…g→約44g(端数は四捨五入)
- 炭水化物kcal = 2,000 × 0.60 = 1,200 kcal →炭水化物g = 1,200 ÷ 4 = 300 g
⑤少しずつ調整していく
理想のバランスに一気に合わせようとしないこと。体は急な変化に弱いので、少しずつ整えていくのが成功のコツです。
調整のポイント:
- タンパク質が少ない → 卵・豆腐・鶏むね肉を1品追加。
- 脂質が多い → 揚げ物・バターを控え、オリーブオイルに変更。
- 炭水化物が多い → ご飯を「お茶碗1杯→半分+野菜増量」にしてみる。
- 1週間で体重が安定している → 同じ比率を継続。
- 減量が進まない(2〜3週)→ 総カロリーを5〜10%減らすor炭水化物を週単位で減らす(糖質カットに寄せる)
- 疲労・集中力低下が出た→タンパク質を増やす(+脂質の質を見直す)、糖質を少し増やす
- 筋肉が落ちている(見た目や力の低下)→タンパク質を 1.4〜1.6 g/kg に上げる

栄養バランスを整えることは、見た目だけでなく疲れにくい体を作る第一歩になります。
特に夜勤や不規則勤務が多い人ほど、食事の質が体調に直結します。無理な制限ではなく、「足りない栄養を補う」意識を持つと続けやすいですよ。

農家として感じるのは、「食材の選び方」も大事ということ。
旬の野菜や果物は栄養価も高く、自然と食事バランスも整います。季節の恵みを取り入れて、楽しみながら続けましょう!
注意点
- 持病(糖尿病、脂質異常症など)がある場合は自己判断で極端なPFC変更は避け、必ず医師や管理栄養士に相談しましょう。
- 極端な制限は月経トラブル、ホルモンバランスの乱れ、免疫低下の原因になることがあります。
- サプリやプロテインはあくまで「補助」としての役割です。まずは食品で整えましょう。
まとめ
以上、今回は自分に合ったPFCバランスの調整方法についてお伝えしました。
- PFCバランスは人それぞれ違う
- 自分の目的・食生活を知って、少しずつ整える
- 無理なく続けられる「ちょうどいいバランス」が理想
継続していくためには、1日でガラッと変えるより、まずは「1食だけPFCを意識する」 ことをしていきましょう。慣れてきたら週を追って増やしていきます。
数字よりも「体調」と「継続性」が優先です。体が整う変化は急にではなく徐々に出ますよ。
健康も美容も、“バランスを知って整える”ことが最短ルートです。

コメント