※本記事は、筆者の個人的な体験と看護師としての経験をもとにした内容です。悲しみ方や気持ちの整理の仕方には個人差があります。つらさが長く続く、眠れない、食べられない、仕事や生活に支障が出ている、自分を傷つけたい気持ちがある場合は、ひとりで抱え込まず、医療機関・地域の相談窓口・こころの相談窓口などに相談してください。
大切な人を亡くしたあと、どうやって気持ちを整理したらいいのか分からない。
悲しいはずなのに、涙が出ない。
周りからは「大丈夫?」と聞かれるけれど、自分でも何が大丈夫なのか分からない。
そんな経験をしたことはありませんか?
こんにちは、看護師×イチゴ農家夫婦のかっちゃんとあきちゃんです。
かっちゃんはこれまで、父・母・祖母を亡くしました。
父は高校1年生の時に肝臓がんで、母は5年前に実家の火事で、祖母は2年前に新型コロナウイルス感染症で亡くなりました。
そして、3人とも自分が喪主を担当しました。
もちろん、つらくなかったわけではありません。
でも、自分の場合は「悲しみに暮れる」というより、どこかで早く日常に戻ろうとしていたように感じます。
特別なことをしたわけではありません。無理に前向きになろうとしたわけでもありません。
ただ、目の前の手続きや生活をひとつずつ進めながら、少しずつ日常に戻っていく。
その繰り返しが、結果的に心を落ち着ける支えになっていたのだと思います。
この記事では、現役看護師であり、家族を亡くした経験もあるかっちゃんの視点から、大切な人を亡くしたあと、心を落ち着けるためにしていることを実体験ベースでまとめます。
この記事で分かること
・大切な人を亡くした後の気持ちとの向き合い方
・無理に前向きにならなくてもいい理由
・心を落ち着けるためにしている日常の習慣
・新しい家族の存在に救われた体験
・つらさが強い時に相談してほしいサイン

大切な人を亡くした悲しみは、すぐに整理できなくていい
大切な人を亡くした時、周りから「大丈夫?」と声をかけてもらうことがあります。
その言葉はありがたい一方で、自分でも「大丈夫なのかどうか分からない」と感じることがありました。
父を亡くした時は、まだ高校生でした。
母を亡くした時は、突然の火事でした。
祖母を亡くした時は、コロナ禍の中でした。
それぞれ状況は違いますが、共通していたのは、気持ちを整理する時間よりも先に、現実的なことを進めなければならなかったことです。
葬儀のこと、連絡のこと、手続きのこと、家のこと。
特に喪主を担当すると、悲しむ前に「やらなければいけないこと」が次々と出てきます。
その中で感じたのは、悲しみはすぐに整理できなくてもいいということです。
悲しみ方には正解がありません。
泣く人もいれば、泣けない人もいます。
何も感じないように見えて、あとからふと悲しみが戻ってくることもあります。

自分の場合、悲しみに浸るというより、まずは早く日常に戻ろうとしていた気がします。それが良い悪いではなく、その時の自分にはそうすることで何とか保てていたのかもしれません。
看護師でも、家族を亡くした悲しみは簡単には整理できなかった
自分は看護師として働く中で、患者さんやご家族の最期の時間に関わることがあります。
特に緩和ケアの現場では、ご本人だけでなく、残されるご家族の気持ちに触れる場面もあります。
だからといって、自分の家族を亡くした時に、特別にうまく受け止められるわけではありませんでした。
看護師だから冷静でいられる、看護師だから悲しみに慣れている、ということはありません。
むしろ、家族を亡くした時には、看護師という立場ではなく、ひとりの家族として揺れていました。
緩和ケアの経験があるからこそ思うのは、悲しみを無理に形にしなくてもいいということです。
言葉にできない悲しみもあります。
泣けない悲しみもあります。
忙しさの中で一時的に感情を置いておくこともあります。
それでも、時間がたってふと思い出す瞬間がある。
その時に「まだ悲しいんだな」と気づくことも、自然なことだと思っています。
看護師として感じること
・悲しみ方に正解はない
・泣けないから薄情というわけではない
・早く日常に戻ろうとすることも、自分を守る反応のひとつかもしれない
・つらさが強い時は、ひとりで抱え込まなくていい
・支えてくれる人の存在はとても大きい
心を落ち着けるためにしている5つのこと
自分が大切な人を亡くしたあとにしてきたことは、特別なことではありません。
むしろ、意識していたのはできるだけ日常に戻ることでした。
ここからは、実際に心を落ち着けるために役立ったと感じていることを5つ紹介します。
① 無理に忘れようとしない
大切な人を亡くしたあと、「早く忘れなきゃ」「前を向かなきゃ」と思うことがあります。
でも、無理に忘れようとすると、かえって苦しくなることもあります。
自分の場合、忘れるというより、思い出した時に「そうだよな、そういうこともあったよな」と受け止めるような感覚に近いです。
悲しみを消すのではなく、生活の中に少しずつ置いていく。
そんな向き合い方でもいいのではないかと思っています。
② 早く日常に戻ろうとした自分を責めない
自分の場合、家族を亡くしたあと、悲しみに暮れるというより、早く日常に戻ろうとしていました。
仕事、家庭、子どものこと、手続き、生活。
やることがあるから動いていた部分もあります。
でも今振り返ると、それは冷たいからではなく、生活を止めないことで自分を保とうとしていたのかもしれません。
悲しむ時間が短いからといって、悲しんでいないわけではありません。
早く日常に戻ろうとすることも、その人なりの心の守り方なのだと思います。
③ いつもの生活リズムを少しだけ整える
気持ちが落ち込んでいる時ほど、生活リズムは崩れやすくなります。
眠れない、食欲がない、何もする気が起きない。
そういう日があっても当然です。
ただ、私の場合は、朝起きる、食べられるものを食べる、仕事に行く、家のことをする。
そうした当たり前の生活が、少しずつ心を現実に戻してくれたように感じています。
完璧に整えようとしなくて大丈夫です。
まずは、朝にカーテンを開ける。温かい飲み物を飲む。少し外の空気を吸う。
そのくらいでも十分だと思います。
生活リズムや睡眠については、こちらの記事でも紹介しています。
④ 手続きや現実的なことは、ひとりで抱え込まない
母と祖母が亡くなった時、妻の存在は本当に大きかったです。
精神的な支えはもちろん、行政的な手続きや、細かな確認ごとを一緒に進めてくれました。
亡くなった直後は、気持ちが追いつかない中で、やらなければいけないことがたくさんあります。
市役所での手続き、書類の確認、連絡、葬儀の準備、各種変更。
そうした現実的なことを、ひとりで全部背負おうとすると、本当にしんどくなります。
頼れる人がいるなら、頼っていい。
家族、親戚、友人、職場、行政の窓口、専門家。
誰かに一部だけでも手伝ってもらうことで、心の負担が少し軽くなることがあります。

悲しい時って、気持ちだけじゃなくて、手続きや連絡も一気に来るんだよね。全部ひとりで抱えなくていいし、誰かに頼ることも大事だと思います。
⑤ つらい時は、誰かに話していい
気持ちがつらい時、必ずしも上手に話す必要はありません。
「何がつらいのか分からない」でもいい。
「ただ聞いてほしい」でもいい。
言葉にすることで、自分の中にある気持ちに少し気づけることがあります。
家族や友人に話しにくい場合は、相談窓口や医療機関、地域の支援につながることも選択肢です。
悲しみやつらさを、ひとりで抱え続ける必要はありません。
眠れない日が続く、食事がとれない、仕事や生活に支障が出ている、自分を責め続けてしまう、自分を傷つけたい気持ちがある場合は、ひとりで抱え込まず、医療機関・地域の相談窓口・こころの相談窓口などに相談してください。
緩和ケアの経験から感じる「家族の悲しみ」
緩和ケアの現場では、ご本人だけでなく、ご家族の悲しみや不安に関わる場面があります。
残される家族は、「もっと何かできたのではないか」「あの時こうしていれば」と考えてしまうことがあります。
自分自身も、家族を亡くしたあとに、いろいろなことを思い返すことがありました。
ただ、緩和ケアの経験から感じるのは、家族の思いはひとつではないということです。
悲しみ、後悔、安心、疲れ、感謝、怒り、戸惑い。
いろいろな感情が混ざっていてもおかしくありません。
大切なのは、その感情を無理に否定しないことだと思います。
悲しみ方に正解はありません。
すぐに整理できなくても、時間がかかっても、その人なりのペースで向き合っていければいいのではないかと感じています。


今そばにいる家族の存在に、ずいぶん救われた
自分は一人っ子なので、父・母・祖母を亡くしたことで、実家の家族がほとんどいなくなってしまったように感じました。
正直、それを言葉にすると、自分でも少し怖くなる時があります。
「自分はもう、ひとりなのかな」と感じる瞬間もありました。
ただ、そんな中で支えになったのが、いま一緒に暮らしている妻と子どもの存在でした。
特別に何かを言ってくれたわけではありません。
ただ、朝起きると家族がいて、ご飯を一緒に食べて、子どもが話しかけてくる。
そうした当たり前の毎日が、「ひとりじゃない」と感じさせてくれました。
亡くなった家族のことは、もちろん今でも思い出します。
でも、今そばにいる家族と過ごす日常があったから、悲しみだけにのまれずに済んだ部分がたくさんあります。
もし、ひとりで全部抱えていたら、ここまで日常に戻ってこられたか分からないというのが正直な気持ちです。
家族の形は、人それぞれです。
血のつながりだけが家族ではないと思います。
一緒に暮らしている人、毎日声をかけてくれる人、そばにいてくれる人。
そして、悲しい時でも変わらずに無邪気な姿ですり寄ってきてくれる、ヤギやアルパカたちのような「言葉を持たない温かい家族」もそうです。
そうした存在がいてくれること自体が、大きな救いになるんだなと、今回改めて感じました。



私にできることは多くないけど、毎日の生活を一緒に積み重ねていけることが、少しでも支えになっていたら嬉しいです。家族の形って、本当に色々あっていいんだろうなと思います。
まとめ|悲しみを無理に乗り越えなくてもいい
大切な人を亡くしたあと、気持ちをすぐに整理するのは簡単ではありません。
自分自身、父・母・祖母を亡くし、それぞれの場面で喪主も担当しました。
つらかったけれど、特別なことをしたわけではありません。
悲しみに暮れるというより、早く日常に戻ろうとしていたように思います。
そして今振り返ると、それも自分なりの心の守り方だったのかもしれません。
悲しみは、完全に消すものではないのかもしれません。
でも、日常の中で少しずつ置き場所を見つけていくことはできるのではないかと思っています。
大切な人を亡くしたあと、今まさにつらい中にいる方が、少しでも「このままの自分でもいいのかもしれない」と感じてもらえたら嬉しいです。
\ 心と体を整える関連記事はこちら /
注意事項
本記事は、筆者の個人的な体験と看護師としての経験をもとにした内容です。悲しみ方や回復のペースには個人差があります。眠れない、食べられない、仕事や生活に支障が出ている、自分を傷つけたい気持ちがある場合は、ひとりで抱え込まず、医療機関・地域の相談窓口・こころの相談窓口などに相談してください。

コメント